日本の企業とデジタル フォーメーション(DX)
現在の日本国内IT市場を把握する上で、重要なキーワードの1つがDX(デジタルフォーメーション)です。DX推進はもはや避けられるものではありません。また、コロナウイルスがDX化に与えた影響も決して小さなものではありません。いずれ近い将来、日本の企業たちの生死を分けるキーとなってくるでしょう。しかし、その傍らで様々な要素がその推進を妨げているのも事実です。そんなDXの進展が実際に日本ではどの程度達成されているのか見ていきましょう。
<目次>
1. 日本企業のDX推進状況
・DX着手している日本企業
株式会社電通デジタルが行った「日本における企業のデジタルトランスフォーメーション調査(2020年度)」によると、74%の企業がDX着手を進めており、その内訳は、“完了済み”が7%、“複数の領域で取り組み中”が33%(割合最多)、“一部の領域で取り組み中”が26%、計画策定中が“8%”となっています。
過去2年間のデータと比較すると、DX着手済みの企業は2019年度から4%、2018年度から11%増加という結果になり、多くの会社が徐々にDX推進を視野に入れ、行動を始めていることがわかります。
また、“現在未着手であるが将来的に着手予定である”という企業は13%であり、それらの企業が今後どう出ていくかが注目です。
・DX推進を行っている領域
同調査によると、2019年比で最も増加している領域は
- 「業務プロセスや業務システムの先進化」(取り組み割合18%)
- 「ビジネスモデルの変革進化」(取り組み割合25%)
- 「デジタル時代に対応する事業ドメインへの進化変革」(取り組み割合11%)
という結果でした。このことから、DXの前提条件でもある業務改革(ビジネストランスフォーメーション)に注力されているのがわかります。
・コロナのDX推進への影響
コロナウイルスの流行後、多くの企業が働き方の見直しや変化の対応を求められ、これを新たにDXへの取り組みを始める、拡大するきっかけとする企業が目立ちました。コロナによって推進が進んだ領域のTop5は、
- 「業務効率化・生産性向上」
- 「短期的な既存事業・サービス」
- 「中長期的なビジネスモデルの変革」
- 「企業文化や組織マインドの変革」
- 「短期的な新規商品・サービスの創出」
という結果になりました。短期的な事業やサービスだけでなく、中長期的な経営の仕組みや伝統的な文化や組織においてDX推進がされていることから、多くの企業がその骨幹ごと“ニューノーマル”への転換に舵を切りだしていることが伺えます。
・DX化の成果
DX化を行ったのであれば、成果がでなければ意味がありません。適切でない方法や進め方ではDX化の失敗につながります。多額の投資が水の泡になるだけではなく、競争力や生産力の低下、セキュリティ面の問題なども挙げられます。
2020年にボストンコンサルティンググループ(BCG)が発表した「デジタルトランスフォーメーションに関するグローバル調査」の結果によれば、DXに取り組んでいる企業のうち、日本でDXに成功したのはわずか14%であるとされています。
株式会社電通デジタルの調査結果では、DXへの取り組みを行ってる企業のうち、程度はどうであれ48%の企業が成果を実感していると回答していますが、残りの18%は判断ができない、24%は成果が出ていないという結果になっています。DXへの取り組みが増える一方で、これらの結果からDX化の失敗を懸念して思いとどまっている企業も少なくないかもしれません。
2. 日本のDX化の進みがイマイチな理由
現在日本でのDX推進が加速しているといえども、まだまだ課題は残っています。実はDX完了済みという企業は大企業が多く、中小企業はDX推進が難しい、踏みとどまっているところが少なくないようです。それはなぜなのでしょうか。DX化を阻む原因としては以下の要素が多く挙げられます。
・人材不足
DXの推進には、DXを経営計画に落とし込むスキルやIT部門でシステム設計や要件定義に関わる人材、実際に設計・運用をおこなう担当者が欠かせません。
日本企業では外注や外部との協業によってITインフラ開発を行うことが主流であり、ITエンジニアの多くがIT企業に属しているという状況があります。そのため、他業種の企業で社内ITを担う人材、つまりデジタル技術と業務の専門知識を持ち合わせる人材が少ないことが挙げられます。
・DXへの理解不足
DX化に取り組むにあたって必要なこと、それは会社一体でビジネスモデルや業務システムを根本的に改革することです。そのため、IT部門にDX推進を丸投げしても、思うような成果が上がらない原因になるだけです。
企業の経営層がDXやIT技術について理解し、各々の企業特徴に合ったDX化を一緒に考えることが不可欠となります。また、理解不足からDX導入のビジョンが見えず、現場や他部門の混乱を招いたり、協力を得られないことにもつながります。
・コスト
DX着手に当たって、エンジニアを中心に膨大な労働力と共にコストもかかってきます。現在の日本企業のIT関連予算の多くは、現行のビジネス維持・運営にあてがわれているという現状があります。また、DX化を行ったからといって、期待している効果がすぐにでるという保証もありません。そのため、多くの企業が現行システムの継続の確保に必死になり、なかなかDX推進に取り組めていないと思われます。
低コストでDXを進めたい企業にとって、品質を確保しながらコスト削減できるというオフショア開発サービスが人気となっています。その中でも、ベトナムは一つのオフショア委託先として評価の高い国となっています。
こちらの記事もご覧ください:
・教育やノウハウの確立
技術的にDX化が完成したからといってそれで終わりではありません。DXの可能性や効果を最大限に引き出すためには、対象をIT人材に限定することなく、一般社員にも適用させることが必要です。
つまり、十分かつ継続的な教育体制・プログラムを構築できるかどうかがDX推進取り組みの成功を決めるポイントの一つになります。一般社員のDX計画・推進に対しての社内意識を向上させ、協力を得られる環境作りが大切です。
・レガシーシステムによる足かせ
レガシーシステムとは、過去の技術や仕組みで構築されているシステムのことです。日本では1980年代に多くの企業がメインフレームやオフィスコンピューターを使ったシステムを導入しました。
レガシーシステムは技術面の老朽化、システムの肥大化・複雑化、高コスト構造の原因となっており、DX の成功要因である価値創造にリソースを裂けない企業が多いのです。
つまり、レガシーシステムを脱却して、既存の IT システムのより高機能で低コストなクラウド環境への移行がDX実現の最初の一歩となります。しかし、このレガシーシステムに長年大金を投資してきた企業にとって、これらを手放すことに抵抗があり、DX推進を踏みとどまらせている結果となっています。
3. 低コストでDX案件を進めるには
DX化に取り組む上で一番の障害は、保守的な思想かもしれません。デジタル化が止まらないこの時代、変革は避けては通れないものです。自分の手札と周りの状況を見比べ、何を守って何を手放すか。ある意味、DX推進は日本企業の在り方に一石を投じる問題であるとも言えるでしょう。
ここ数年、DX案件の開発・サポートをオフショア委託する企業が増えてきています。日本国内のIT人材の人件費の高騰に伴い、アジアで品質に定評のあるオフショア開発を行うことで、低コストでDX化の足掛かりを築いていく傾向があります。この傾向は今後も増加していくでしょう。
弊社2NFは、
- 農業管理システム
- 業務システム開発
- 倉庫管理システム
- AIを利用した請求書認識システム
などといった日本企業向けのDX案件に豊富な経験があります。
DXソリューションについてご相談されたいエンドユーザの方から、DXシステムを開発するパートナーをお探しのSIerの方まで、弊社のお問い合わせフォーマットよりお気軽にお問い合わせください。