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2021年のベトナムのIT市場とIT人材の課題

投稿時間: 22:58, 08/08/2023

2021年ももう終わりを迎えようとしています。コロナウイルスの流行以降、IT業界を初め、多くの業界が困難に直面し、それに対応するための変化を求められるようになりました。世界の国々が徐々に復興へと向かって突き進んでいる中、ベトナムのIT市場も新しい経営とテクノロジーの下、ニューノーマルの中で発展をしています。まさに2021年はテクノロジー市場の知識と革新の競争の年であったと言えます。本日は2021年のベトナムのIT市場について振り返りましょう。

<目次>

・2021年IT業界の概要

 2021年もベトナムでは度重なるコロナウイルスの影響を受けたものの、IT業界やベトナム経済全体では目を見張る成果を挙げたと言えます。統計局の発表によると、ベトナムは携帯電話とその部品の生産が世界2位、電子部品生産が世界10位にランクインしています。この2つの要素により、情報通信技術分野が最大の貿易黒字をもたらす分野となり、ベトナムの経済成長を担っているのです。

 この好調な状況下で、「デジタル技術企業発展のための国家戦略草案」では、2030年までにデジタル技術企業4分野へ継続的に注力するという目標を掲げました。デジタル技術企業4分野は以下の通りです。

1.主力テクノロジー開発企業
2.デジタル技術製品・サービスの開発企業
3.デジタル技術ソリューション開発企業
4.デジタル技術ビジネス創業

 また、2030年までにデジタル技術企業数を少なくとも10万社以上、デジタル分野に従事する社員を150万人に増やす目標も掲げています。これは国の支援政策を背景に、テクノロジー分野の企業の経営規模拡大を図る機会だとしている同時に、ベトナムにおける同分野が担える業務量拡大にもつなげます。

 ベトナム政府は引き続きIT分野への海外からの投資を誘致する政策を立てており、広範で効果的な国家のDX構造の形成を行っています。また、ベトナムはIT関連グループ、ハイテク工業団地に対する競争費用及びインフラへの投資に力を入れており、海外の技術投資家を引き付ける狙いがあります。

・IT人材の需要

 2018年から2022年までの統計資料によると、ベトナムにおけるIT業界の人材需要は増加を続けています。TopDevのベトナムIT市場についての報告2021によると、2021年までには45万人のプログラマーが必要であると言われていますが、現在は約43万人程度にとどまっており、数だけでなくの人材のレベルについてもまだ十分とは言えません。IT教育を行っている大学は日を追うごとに増えており、IT系学科専攻の卒業生も増加している中、なぜこのような状況が生じているのでしょうか。IT人材の不足原因は、主に企業が求める基準と新卒プログラマーのレベルのアンマッチにあります。毎年5万5千人以上のIT系卒業生のうち、企業が求める技術力や専門性を持つ学生は、その中の僅か30%にあたる約1万6500人にとどまっています。

 見方を変えれば、知識、技術、仕事への態度など求められる基準に満たない新卒プログラマーが、人材需要が高まる中の失業や労働効率問題の端を発することとなっているのです。企業に雇用された多くの人材も、再教育や長期的な先輩技術者の同行が必要など、人材活用計画が不透明化し企業の費用へ影響を与えています。

 このような状況が生まれている背景には、ベトナム国内におけるIT教育が、社会発展における需要、特に高い技術力をもつ技術者教育の需要を満たせていないことが挙げられます。来たる2022年は更に多くのIT人材が必要となりますが、需要53万人に対して供給は38万人程度にとどまると予想され、技術者不足がより色濃く目立ってきそうです。

・求める専門性や技術力の高さと厳しい競争

 IT企業が成長する上で、IT人材雇用の需要は必ず生まれます。社会経済状況の変化と影響、並びにハードスキル・ソフトスキルに応じて、今後プログラマーの給料や能力がより明確に分類されていくことが予想されます。プログラマーには高い専門的な能力の他、成長意欲、コミュニケーション、時間管理、語学力など、ソフト面の能力も求められ、採用選考の際の評価の重要な指標となっています。

 コロナ禍やIT業界の革新を受け、プログラマーはあらゆる変化に対する適応力の高さと柔軟性を求められています。プログラマーは常に自身の技術を高め、サイバーセキュリティ、DevOps、AI機械学習、クラウドコンピューティングなど、新技術にアプローチしていかなければなりません。実際、ビッグデータ解析、AI、情報処理安全、プログラミング、ブロックチェーンなどの分野が注目が集まるに伴い、技術力の高い人材が多くのIT企業・グループから引っ張りだことなっています。しかし、この需要に応じられる大学の教育プログラムがまだないのが現状です。

・2021年-2025年の人材教育の見通し

 このように、ベトナムのIT教育レベルと実際に社会で求められるレベルには差があることがわかりました。今後、ベトナムのIT教育は、従来の教育方法を見直し、より実戦的な労働力を育てる環境が必要です。

 2020年に打ち出された「2025年までの国家DXプログラム及び2030年までの方針案」では、毎年約10万人の高レベルなIT技術者の教育が必要であり、そのうち1万人がデジタル専門でなければならないとしています。この目標を達成するためにも、ベトナムではIT人材教育の見直しが進んでいます。

IT人材教育の見直しの例

1. 教育プログラム・教材の改善を図ると同時に、指導者のレベル向上させる。企業と大学を連携させ、学生に実習やインターンシップをさせる機会を提供することで、双方の間のレベルのズレを埋める。
2. IT人材の需要に応じるため、連続的に教育内容・知識を標準化する。国の教育訓練省と情報通信省間、学校と企業間で連携し、最新の知識や技術をいち早く取り入れられるようにする。
3. 専門的教育の他、自分で学習・研究する能力やチームワーク、コミュニケーション、語学力などのスキル教育を促進する。特に語学力はIT人材に求められる重要なスキルであり、世界の新しい知識に触れるために必要不可欠である。
4. 教育側は専門性や指導者の質の向上し、より実際的な指導を重視する。また人材育成のグローバル化を強化し、国外で世界最新の分野を学習・研究する人物を選出する。

 IT業界は可能性が大きい業界だからこそ、IT人材の競争も激化しており、これまで以上に専門的な技術力はもとより、ソフトスキルも重要な資質となっています。ベトナムのIT人材不足の解決の糸口として、若手プログラマーの迅速な競争参入を実現するため、教育機関の教育プログラムの改善が急がれています。これらの政策の成果をべトナムIT人材が体現する日は近いでしょうか。

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