ベトナム、新型コロナウイルス追跡アプリ「Bluezone」の導入
2020年7月末に99日ぶりにダナン市で新型コロナウイルス(COVID-19)感染者が発見されたことをきっかけに、グエン・スアン・フック首相は8月2日、新型コロナウイルス感染症対応に関する全国各省・市とのオンライン会議で、ダナンの市民のみならず全ベトナム国民に対し、新型コロナウイルス感染者追跡アプリ「Bluezone」(ブルーゾーン)をスマートフォンにインストールするよう呼びかけました。
<目次>
- Bluezoneとは?
- Bluezoneの開発背景
- ブルーゾーンの性能
- Bluezoneはユーザープライバシーの保障ができるのか?
- Bluezoneアプリのダウンロード手順と使い方
- その他のコロナウイルス感染症対策システム
1.Bluezoneとは?
このアプリは新型コロナ感染者の早期追跡に役立つ、ベトナム独自に開発されたIT製品です。
2.Bluezoneの開発背景
新型コロナウイルス感染症に対応するためには、COVID-19感染者(F0)が発見された後、関係機関は個人の移動と接触の履歴を調査し、感染の可能性のある人を追跡する必要があります。
しかし、実際には移動距離が長すぎる場合もあり、全ての近距接触者を列挙することはできません。
このような状況での感染経路の管理作業は困難であり、感染の可能性のある人を追跡することに時間がかかります。また、追跡が漏れる場合もあります。そこで、Bluezoneが生み出されました。
3.ブルーゾーンの性能
Bluezoneは、アプリユーザーのウイルス感染が分かった場合に、濃厚接触した可能性のあるアプリユーザーに警告通知を送る機能を有します。
このアプリケーションには、Bluezoneをインストールしているユーザー間の統計情報を自動的に収集して記録する機能があります。Bluezoneアプリの接触履歴によっていつ、誰と接したことが表示されます。2人共スマートフォンでBluezoneアプリをインストールし、オンにして2メートル以内の距離で15分間以上継続接触した場合、bluezoneによってその2人が接触した情報が確定されます。
それらの情報はすべてIDコードの形式で暗号化されます。セキュリティを確保するために、このIDコードは常に変更されます。これらのデータはサーバーにセーブされず、ユーザーのデバイスに直接セーブされます。他のBluezone使用者は、彼らが濃厚接触した人のIDの一部しか見ることができませんので、悪意のある人によって個人IDコードをコピーされ、名誉毀損されることなどはありません。
①ユーザーがBluezoneをダウンロードしてBluezoneコミュニティに参加する。
②濃厚接触過程を記録する。
③感染者(F0)が確認されたら、医療機関はシステムに該当者F0のデータを入力する。
④システムはF0のデータをBluezoneコミュニティの全端末へ配信する。
⑤端末にインストールされているアプリはF0の接触履歴と照合する。
⑥一致したデータがあることを確認する。
⑦ユーザーに新コロナウィルス感染の可能性を警告する。
⑧援助を受けられるよう、画面に権限のある医療機関へ連絡する案内を表示する。
⑨さらに、F0に濃厚接触した者(F1)に濃厚接触した者(F2)への警告も行う。
感染者(F0)が発生した時、その人物のBluezoneアプリのIDコードがすべてのBluezoneコミュニティに送信されます。アプリは、それを自ら端末の接触履歴と自動的に照合します。 一致した場合、Bluezoneはその端末の所有者がF1になったという情報を表示します。
端末間の接続から接触検出、接触履歴の保存、データの照合まで、すべての段階が自動的に実行されます。 このことで、Bluezoneインストールし、F0と至近距離で接触したすべての人が警報を受け取ることになります。
グエン・マイン・フン情報通信相は、現在このアプリが最も効果的な追跡アプリであり、国内で利用されている別の健康申告アプリと連携させることで追跡精度の高いシステムになると評価しました。
ベトナム国内ではスマートフォン利用者数が7500万~8000万人もいます。その60%以上がBluezoneをインストールすれば、アプリの効果が高く発揮されるといいます。フン氏は、ベトナムに滞在中の外国人も含め、全国民に対してアプリをインストールするよう呼びかけています。8月2日の時点ではアプリのダウンロード数は200万件に至りました。
4.Bluezoneはユーザープライバシーの保障ができるのか?
Bluezoneアプリは、携帯電話がポケットに入っていても、画面をオフにしてもユーザーに警告します。 記録は完全に自動的に行われますが、2つの携帯電話間の転送コードは絶えず変わるため、個人の識別はされないのでプライバシーが確保されます。
実際、Bluetoothの接触監視技術の使用は、2メートル以内の距離で正確となり、人々のプライバシーを侵害しません。 したがって、情報通信省は新型コロナウィルス感染が疑われる者を追跡するためにこのテクノロジーを選択し、Bluezoneアプリを開発しました。
自分とコミュニティの健康を守るために、全国民がアプリをインストールし、Bluetoothをオンにしておく必要があります。
5.Bluezoneアプリのダウンロード手順と使い方
手順と使い方は非常に簡単です。AndroidとiOSに対応しており、無料でダウンロードできます。ウェブサイトも参照(英語、ベトナム語)。
Android:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mic.bluezone
iOS:https://apps.apple.com/vn/app/bluezone/id1508062685
ステップ1:アプリをダウンロードする。
名前が似ているアプリもありますので「Bluezone – Khẩu trang điện tử」(ブルーゾーン-電子マスク という意味)を探してください。
ステップ2:インストールが終わったらアプリを開く。
認証画面が表示されますので、自分の電話番号を入力します。
ステップ3:SMSに送られた認証IDを入力します。
これでインストールと認証が完了し、アプリが起動されます。
ステップ4:OKがタップされると端末の位置情報へのアクセス許可画面が表示されます。常に許可する(赤い枠)を選択します。
次に、BluetoothがOFFになっている場合にも、BluetoothをONにする設定画面が表示されます。ONにします。
これで初期設定が完了します。
アプリは自動的に周囲にBluezoner(Bluezoneを利用している端末、人のこと)などがいないかスキャンをし、以下のホーム画面が表示されます。
タブの文言の訳:
①ホーム ➁通知 ③招待 ④アプリについて
接触履歴ボタンがタップされたときの画面表示:
通知画面:
招待画面:
6.その他のコロナウイルス感染症対策システム
☆ベトナム政府は「ベトナム・ヘルス・デクラレーション(Vietnam health declaration)」をベトナムに入国する人向けに展開し、アプリを通し日常的に健康申告を行うことを推奨しています。詳細内容はブログ「Vietnam Health Declaration」電子医療申告システム開発をご覧ください。
☆ベトナム政府は国民に対し、アプリ「NCOVI」を通して健康状態申告の実施や国内外のコロナウイルス感染症状況を把握することを推奨しています。詳細については こちらからブログをご覧ください。⇒「NCOVI」アプリ