2022年最新!オフショア開発にベトナムを選ぶ理由
オフショア開発とは海外で情報システムやソフトウェアの業務を開発することです。元々は日本国内のIT人材の不足による開発費用の高騰を受け、注目されてきたオフショア開発ですが、2020年以降のコロナウイルスの流行により、更に注目が集まっています。そして、その開発先として最も選ばれているのがベトナムです。“オフショア新興国”としてうたわれてきたベトナムのオフショア開発市場の最新動向とその背景について見ていきましょう。
<目次>
1.オフショア開発の拡大要因
日本企業のオフショア開発の歴史は実は40年ほどになります。1980年代に開発コストの削減を目的として中国で始まりました。その後開発先の国を拡大させ、2013年には30%以上の日本企業がオフショア開発を経験したというデータもあります。そして現在、国内のIT人材不足を受け、「ITリソースの確保」がオフショア開発のコスト削減に変わる主な目的になりつつあります。
そんな中、2020年以降のコロナウイルスの影響を受け、オフショア開発の初めて検討・実施する日本の企業が著しく増加しました。その最も大きい理由として、働き方の変化により、リモートワークへの意識や認識に変化が生まれたことが挙げられます。つまり、いわば国際的なテレワークであるオフショア開発への“精神的ハードル”が下がったということです。また、コロナ禍によってこれまでビジネスの在り方に変化が生まれ、それに目をつけた企業が新規事業やサービスを創出するためにオフショア開発に乗り出すケースも多いようです。
オフショア開発を行うにあたり、最も肝心なことは開発国選びです。2021年度オフショア開発先の人気ランキングはこのような結果になっています。
2.ベトナムの独自の強み
一位のベトナムは少し前までは“オフショア新興国”と呼ばれ、中国やインドと比べると新しい市場でした。そんなベトナムが今日では圧倒的な地位を確立しています。ベトナムのオフショア市場は普及期を迎え、オフショア開発を行う会社はベトナム全国へ広がりをみせています。一方で、ベトナムは初めてオフショア開発に取り組む日本企業にとっても選びやすい国と言われています。
なぜこのようにベトナムが選ばれているのか。親日や地理的条件、国民性、文化など多くの理由がありますが、本日は主に4つの観点から分析していきます。
〇人材
まず挙げられるのが人材です。ベトナム政府がエンジニア育成に力を入れていると同時に、需要があり給料も高いことから、若者に人気な職となっているためリソースが大変豊富です。また、他のオフショア開発先として主流な国の中でも、人件費は比較的安い水準に収まっており、中国やインドではもはや不可能なコストの削減がまだ見込める状況にあります。そして、ベトナムの強みの一つが高い日本語スキルです。英語と同様人気の言語であり、日本語を学ぶ環境が充実しているため、開発者でもクライアントと直接やりとりが可能な人材が多いです。日本語でのコミュニケーションが可能なので、日本企業側にとっても言語面のハードルはグッと低くなります。
〇品質・経験
ベトナムではIT人材が大変豊富で、その中でも技術力の高いエンジニアによってオフショア開発市場が支えられています。日本を始め、世界で留学・就業をした技術者が帰国して開発を行ったり、オフショア開発発注案件の増加を受け、鍛えられてきたベトナムの製品品質は日本のそれと比べても遜色ないと言われています。
オフショア開発の成功のカギは、技術や管理能力だけでなく、言語や文化の違いを乗り越えることが挙げられます。日本人相手に仕事をするわけではないので、オフショア開発ならではの様々な問題が発生することもありますが、経験がないと解決や予防が難しいものです。そんな中、日本からのオフショア開発を受託するベトナムのIT企業では日本人の企業文化をリスペクト・理解し、既存のビジネスマナーや労働者の癖・思考を改善する傾向が見られます。日本人のビジネスマナーや思考の傾向に習うことで、日本の顧客に対応するだけでなく、社内や社員全体の仕事の効率化や風土の向上につなげています。
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オフショア開発時によくあるトラブルと日本側にできる対策
このように、実際に日本企業のオフショア開発の受託国として培ってきた実績と経験から、品質を保証するだけでなく、言語やマナーなどソフトスキルも重視し、より日本企業が仕事を委託しやすい環境を整えていると言えるでしょう。
〇技術力
製品の品質が高いベトナムは、従って技術の高さも1つの魅力です。IPAの「IT人材に関する国際比較調査」(2017年)では、ベトナムIT人材の週あたりの平均勉強時間は日本IT人材の約2倍という結果もでており、ベトナム人の国民性や技術力向上のモチベーションの高さが垣間見れるのではないでしょうか。
2021年ベトナム版オフショア開発書によると、ベトナムで受託している案件の比率はオフショア市場全体と比べて、以下のようになっています。これを見ると、基幹系システムとAIが突出しているのがわかります。
まず、全体の2割弱を占める基幹系システムは、企業や組織の事業活動の中核にかかわるシステムであるため、情報系システムと比べると高い技術力やセキュリティレベルが求められます。
次に全体の2倍以上の比率を占めるAIは、高度な技術が必要で、需要が伸びる一方で日本でもAIエンジニアの不足が問題になっています。そんな状況下で、ベトナムでは先端テクノロジー開発の担い手として、注目され、研究・開発が進められています。同書によると、この傾向の理由として同書は『ベトナムは人材の流動が激しい。優秀な若手の人材は、先端テクノロジーの実績やスキルを身に着けたくて仕方がない状況であるため、人材を囲い込む意味でもAIをはじめとする先端テクノロジーへの取り組みが活発化している』としています。
このように開発案件の内容からも、ベトナムのITエンジニアの技術力の高さが伺えます。今後さらにオフショア市場の中でもベトナムはハイレベル案件の受け皿としても選ばれていくでしょう。
〇開発企業の多様性
2021年ベトナム版オフショア開発書では、ベトナムの開発企業の多様性にも言及しています。オフショア開発会社の分類と特長は以下のようになります。
①ベトナム資本によってベトナム人が設立したケース
特長:単価が安め
②日本資本によって日本人が設立したケース
特長:日本企業向けサービスが充実
③日本企業のオフショア拠点が、他社の案件も受けるようになったケース
特長:実績が豊富
このように、ベトナムの開発会社は株主や設立経緯などによって、特徴やメリット・デメリットが異なります。これは同時に、顧客の様々な需要や要望に対応できることを意味しており、多くの選択肢から比較して自社に合った企業を見つけることができるという点でも、初めてオフショア開発に取り組む日本企業にとっては安心要素になるでしょう。
3.ベトナムオフショアの費用
上記で述べたように、ベトナムのオフショア市場は、2000年代に中国やインドに次ぐ新たな開発先としての位置を築いてから、多くの実績を積み、経験や技術力を培ってきました。オフショア黎明期にあたる2010年代には目を見張る低単価が大きなメリットとして注目されたベトナムは、現在大きな変化を迎えています。
〇開発単価の上昇
ベトナムのオフショア市場の単価は右肩上がりです。その理由は、ベトナムの社会経済発展や、オフショア開発の実績の増加、発注案件の増加など、オフショア開発に人気な発展途上国なので単価上昇は想像に難くないでしょう。2021年オフショア開発書の調査によると、オフショア開発国の単価と昨対比は以下の通りです。
この表を見ると、ベトナムの4職種中3職種の単価は上昇し、多くて2割以上の増加が見られるものの、ベトナム同様オフショア開発普及国である中国、インド、フィリピンと比較しても、比較的安価な水準にあることがわかります。コストメリットの点からみると、中国やインドではもはや費用削減が難しい一方、ベトナムでは案件や条件によって実現が可能と言えるでしょう。また、職種による単価の差が大きくないことからも、技術力の高い人材が多いということがわかります。
〇PM・ブリッジSE人材の育成
プロジェクトの総責任者であるPMは経験や様々な能力が求められるポジションです。ブリッジSEは高い語学力を持ち、海外の顧客と直接やり取りを行って開発を行います。
PMやブリッジSEの単価はオフショア開発が主流な国の中でも低い水準を維持しています。特に、プログラマーやブリッジSEの単価が上昇している中、PM人材はプログラマーの単価は若干減少し、各国と比較して最も低くなっています。このことから、PM人材の育成の結果が反映され始めていることがわかります。
ベトナムには日本語ができるPMやSEが他の国と比べて多く、今後需要がより高まることを受け、数がさらに増えていくことが予想されます。そうなれば、日本企業にとってより対応しやすく、満足度の高い製品の開発につながるでしょう。
〇ベトナムオフショア市場の変化
今後もベトナムIT人材の単価の上昇は続くため、コストメリットの確保は徐々に難しくなっていくでしょう。そんなベトナムの市場価値は、「コスト削減」から「安定した技術力を備えたリソース」に移り変わつつあります。ベトナムのITエンジニアはただ豊富なだけでなく、日本企業の案件を成功させてきた実績や経験が大きな武器です。日本の深刻なITエンジニア不足を前に、開発コスト削減のみにとどまらず、人材獲得という新しい形で日本企業に貢献していくでしょう。
現時点でも、自社の条件や要望に合った最適なパートナーを見つけ、二人三脚でうまく開発を進めることができれば、ベトナムでのコスト削減と人材リソース確保、両方の実現も十分可能です。
2NFソフトウェアはベトナムで日本のお客様とオフショア開発を進めて10年以上の実績をもっております。『すべてはお客様の満足のために』をポリシーに、豊富で優秀な人材を多く抱え、お客様の多様なご要望にお応えしています。日本におけるIT人材派遣や、アプリ開発、AI、IoT、ブロックチェーン技術など、高品質なサービスを幅広く提供していることが特徴です。オフショア開発に初めて取り組む方、IT関連について未経験の方でも、弊社がサポートしながら、プロジェクトを成功に導きます。お手頃な費用でシステムの開発を行いたい方、開発パートナーを探している方は、是非弊社までお問い合わせくださいませ!