Eコマースの三大モデル
<目次>
世界の技術発展と、企業の経営方法の柔軟化により、Eコマース及び電子商取引のビジネスモデルは最先端のトレンドになっているだけでなく、市場におけるその存在感は大きくなっていく一方です。
電子商取引経営の傾向に関する情報を見つけるのはそう難しくありません。しかし、基本的原則を把握する場合を除き、それらの情報によって企業が困難に直面したり、発展の可能性を左右することにもなりかねないので、注意が必要です。
現在勢力を伸ばしている電子商取引に参加する企業は、効果的な経営計画の立案に先駆け、鋭い直感と市場に関する深い知識、商品の研究と、特にビジネスモデルへの精通が必要不可欠です。
自分に最も相応しいビジネスモデルを選ぶには、まず経営者がそれぞれのビジネスモデルについて知ることが大切です。そして企業にとっても、ビジネスモデル需要に適切な電子商取引プラットフォームの決定が必要になるはずです。
Eコマースの一般的なビジネスモデル
Eコマースには売り手と買い手をつなぐオンライン市場と、インターネットを通じて処理されるる全ての電子商取引が含まれます。
そのため、手始めとして企業が参戦すると決めた経営市場の種類について考えなければいけないのは明白です。新参者であろうが、古株の経営者であろうが、電子商取引のビジネスモデルについて理解しておくべきでしょう。
ビジネスモデルは必ずB2B、B2C、C2Cのうちどれかに当てはまります。この3つのモデルについて、それぞれ詳細にご紹介してきます。
B2Bモデル(企業間電子商取引)
B2BはBusiness To Businessの略語表記になります。B2Bモデルは、電子取引フィールド・ウェブサイト・企業ごとの電子取引チャンネルを通して、企業から別の企業へ製品やサービスが提供されます。このモデルの属するほとんどがサービスの提供を行う企業で、ソフトウェア会社、事務所の内装及びサービス提供会社、書類保管サービス会社などが挙げられます。
日本でも知られる典型的なB2Bモデルの電子商取引として、世界屈指のウェブサイトであるアリババが挙げられます。アリババは販売の場の提供を目的として電子取引マーケットを構築し、数千という大小の企業と繋がっています。マーケットのインターフェースは明確かつ、手間取らせない完成形で、各企業のマーケティング費用や製品の流通費用の削減補助も行っています。
2019年、日本のB2Bモデルの市場規模は約353兆円に上り、小売業、建設・不動産業、食品業界で規模が拡大しています。BtoB 市 場全体は、2019 年も増加傾向となっており、また、BtoB-EC 市場規模も、前年に引き続 き成長基調を維持しています。
B2B Eコマースシステム市場規模推移
B2Bモデルにおける課題として、IP 網化に伴う INS ネットの廃止や消費税関連の対応によるEDI(企業間取引で発生する契約書や受発注書、納品書、請求書などといった帳票のやり取りを、専用回線やインターネット用いて処理ができるシステム) の仕組みの更新が必要になることです。
B2Cモデル(消費者向け電子商取引)
B2CはBusiness To Customerの略になり、企業が消費者に直接製品を販売するモデルを指します。取引及び購入が企業もしくは卸売業者間で行われるB2Bモデルと異なり、B2Cモデルは電子商取引ウェブサイト・取引チャンネルを通し、企業が個人に販売するという従来の形式のものです。
B2Cモデルは最も知名度が高く、市場でも絶大なシェアを占めています。現在、商品のオフライン実地販売による業績を誇るアディダス、ナイキ、ZARAなどの世界的有名ファッションブランドから家電や家庭用品、寝具などの商品などまで、幅広くEコマースシステムを展開しています。
企業にもたらすB2Cモデルの強みは、販売費用を抑えることができることです。Eコマースサイトさえあれば、インターネットを通して膨大な数の顧客と繋がれる可能性生まれるだけでなく、従業員の雇用や敷地を借りることも必要ありません。消費者も商品の選択が快適になるほか、素早い操作でショッピングができ、尚且つ商品は自宅まで届けられるので店舗へ行き来する時間もかかりません。
経済産業省の市場調査の報告書によると、2019年の日本におけるB2Cモデル市場規模は19 兆 3,609 億円(前年比 7.65%増)となりました。分野別のB2Cモデル市場構成を見ると、物販分野が51.9%、サービス分野は37.0%、デジタル系分野は11.1%となっています。
B2C Eコマースの市場における分野の構成比率
これらのことからわかるように、B2CモデルのEコマース化率はここ数年、ゆるやかではあるものの、確実に伸びています。上記のように、店舗や人員を常に確保する必要がなくなり、Amazonや楽天などを含むEコマースサイトの利用者も増えている現在、このモデルの成長は今後も安定化していくでしょう。
B2C Eコマースの市場規模及び物販系EC化率の経年推移(単位:億円)
分野別B2Cモデルの実情
1 物販系分野の市場
2019年の国内B2CモデルのEコマース市場における物販系分野は、2018年度から8.09%の成長を遂げ、10兆515億円を記録しました。成長率は2017年から3年連続で一桁台ではあるものの、物品購入の個人消費が横ばいである現在では、この成長率は決して侮れません。楽天市場の開始から20年以上が経過し、いまだに拡大を続けているの物販系 BtoC-EC 市場は、依然として成長市場であることを物語っています。そして今後、成熟市場となっていくのは確実でしょう。
より詳しく見ると、物販系分野中の市場規模の大きい順に、「衣類・服装雑貨等」、「生活家電・AV 機器・PC・周辺機器等」、「食品、飲料、酒類」、「生活雑貨、家具、インテリア」、「書籍、映像・音楽ソフト」が挙げられます。これらは全て 1 兆円以上の市場規模で、これらの 5 カテゴリー合計で物販系分野の 85%を占めてることになります。
2 サービス系分野の市場
2019 年の国内 BtoC-EC 市場におけるサービス系分野は前年比7.82%増の7 兆 1,672 億円となりました。その中でも旅行サービスが最も市場規模を占め、全体の54.4%に上っています。次いで飲食 サービス、理美容サービス、金融サービス、チケット販売、と続きます。
サービス系分野の市場では、分野毎 にそれぞれ特化した専門の事業者たちによる競争が特徴です。現在新たなサービスカテゴリーの開 拓が進んでいることも背景に、既存のサービスのネット予約が進むなどすれば、サービス分野のBtoC-EC 市場は今後さらに拡大すると予測されます。
3 デジタル系分野
デジタル系分野で最も BtoC-EC の市場規模が大きいのは、オンラインゲームであり、分野全体の6割以上を占める1 兆 3,914 億円となっています。その後、電子出版(3,355 億円)、有料動画配信(2,404 億円)、有料音楽配 信(706 億円)が続きます。
C2Cモデル(消費者間取引)
B2B、B2Cモデルの観念は私たちの実生活に身近で、理解しやすかったに対し、C2C(Customer To Customer)は少し異なります。電子商取引業界の発展と、オンライン販売に対する信頼の高まりに伴って生まれたC2Cモデルのウェブサイト・アプリは、顧客間の取引、売買を通して手数料を徴収し、それが利益となります。C2Cモデルのウェブサイトを立ち上げる際は、入念な計画が必要です。
日本でも一定の知名度を誇るeBayなどといったプラットフォームの華麗な成功を受け、数多のオークションサイトやその他C2Cモデルのサイトが立ち上がりましたが、当モデルの不安定さにより、すぐさまその姿を消していきました。
また、電子商取引マーケットシステムを構築し、様々なビジネスパートナーがマーケティングを行い、自らの商品を消費者に販売するといったEコマース企業もあります。
経済産業省の推計(2019年)によると、日本のC2Cモデルの市場規模は1兆7.407億円、前年と比べ9.5%の伸び率を記録しています。ただし、CtoC 取引は個人間に留まるものではなく、実際には BtoB、BtoC の取引も含まれいます。
日本における一般的なC2C-EC市場と言えば、フリマアプリ及びオークションサイトが挙げられるでしょう。
2019年の市場規模拡大の背景にはフリマアプリ市場の成長によるものです。フリマアプリ市場はモノの二次流通を基本とし、実際に取引される商品は、販売者として市場に参加する利用者によって供給されています。一次流通事業者から見れば、自社製品の消費者ニーズや競合他社に対するポジショニングを把握できるといった点で、二 次流通市場は新たなマーケティングの場と捉えることもできます。今後、二つの流通市場でのビジネスをより高度に連携させる流れの中で、二つの市場のデータを共通化して統合的に運営するビジネスモデル の出現も予想されます。
一方で、CtoCモデル では、偽ブランドや不適切な出品が社会的に話題となる状況が絶えず発生しています。内閣府消費者委員会は、プラットフォーム事業者に対し、保証制度の充実や トラブルの未然防止、早期解決を図るための工夫のほか、「提供者がトラブル処理能力に 欠ける場合に提供者と一体となってトラブル解決に取り組む」ことを求めています。現在、AIのによる出品商品の監視及び巡回は、多くのプラットフォームで導入されていますが、継続的な更新・性能向上が必要とされています。
まとめ
ここまで、Eコマースシステムの、一般的な3つのモデルについてご紹介してきました。企業に適切なモデルが把握できたら、その次に市場で実際に利用されている各Eコマースプラットフォームについての調査が重要になります。
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